つぶやき 専門の医師すら 意見は2つ

血糖値コントロールについての論評で、下記書籍では、P161で、「血糖値コントロールがよければよいほどよいというのは本当に正しいのか」について、次のように述べています。「リスクの高い人達を対象にした臨床研究においても、やはり厳格に血糖コントロールを追求したほうがよりよい結果が得られる。」
「糖尿病は果たして不治の病だったのか」最新糖尿病治療薬 鈴木吉彦著 主婦の友社 2010.7.31発刊

2008年2月アメリカで報告されたアコード試験と同じ頃発表されたアドバンス試験を取り上げています。アコード試験では、約1万人の糖尿病の患者で、心血管疾患を発祥させやすい肥満などのリスクを持った人が対象とされました。血糖値コントロールの厳しい管理と、少し緩やかな管理と比べると、厳しく管理したほうが死亡リスクの増加が認められたのです。厳しすぎる血糖値コントロールが、患者さんに大きなストレスを与え、そしてまた低血糖を誘発したことで死亡率を上げてしまったと結論づけています。アコード試験は5年間を予定していたのが、3年半で中止となっています。

同じ頃、アドバンス試験が行われていました。オーストラリアの研究です。
約1万人で、平均年齢66歳、32%が心血管疾患既往でした。平均のヘモグロビンa1c7.5%こちらの結果は、血糖値コントロールの厳しい管理(目標のヘモグロビンa1c6.5%)と、少し緩やかな管理(目標のヘモグロビンa1c7.3%)と比べると、結果はほぼ同じで、両群の有意差は認められませんでした。

鈴木先生は「アコード試験、とアドバンス試験は対照的な結果が出た」とはっきり述べられています。P164 そして、「リスクの高い人達を対象にした臨床研究においても、やはり厳格に血糖コントロールを追求したほうがよりよい結果が得られる」p166と述べられています。規制の、日本糖尿病学界型のさしさわりのない、コメントです。日本の糖尿病専門医の代表する先生の話です。

実は、別の書籍には、全く同じ、アコード試験、とアドバンス試験、についてのコメントですが、少し、違った見方が記載されていますので、対象に紹介します。といっても、私のブログでは、すでに昨年暮れに、述べています。以下そのブログより転記します。「インスリン注射も食事制限もいらない糖尿病最新療法」角川SSC新書2009.9.25岡本卓 \819

「日本の糖尿病での、血糖値の目標は、ヘモグロビンA1C6.5未満を保つことでありますが、これを厳格にコントロールすると、心血管疾患のリスクの高い患者さんは死亡率が高くなっています。つまり、血糖値が穏やかであるほうが死亡率は下がります。」2008年2月6日アメリカで「アコード試験」糖尿病治療研究の成果が報告されました。P59〜62 

つまり、持病が高血圧であり、高脂血症で悪玉コレステロール値が高い人は、糖尿病より、心臓病の危険性があって、決して、厳格な血糖値コントロールをしてはならないと、最新の研究結果より判明しました。

さらに、「アドバンス試験」オーストラリアの研究では、厳格な血糖値コントロールをすると、腎機能障害が22%程度減少したとか、さらに別の、「VADT」と呼ばれる研究結果は、厳格な血糖値コントロールをし他患者と、穏やかな血糖値コントロールをした患者では、心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症には違いが無い、という夫々三つの異なる研究の結果が報告されています。

これらの血糖値管理の、報告の共通点は、厳格な血糖値コントロールをしてみたが、大血管障害といわれる病態については、何もいい結果を残さなかった、といえます。そして、高血圧、悪玉コレステロール値の高い糖尿病患者や、喫煙をし、肥満である糖尿病患者のような、心筋梗塞を含む心血管疾患のリスクが高い人は、ヘモグロビンA1cを、7.0〜7.5%くらいの穏やかなコントロールにするのが理想的、との結論されています。